旅費法改正とは?改正内容や組織への影響について徹底解説
目次
旅費法改正について徹底解説
旅費法とは国家公務員の出張旅費などのルールを定めた財務省所管の法律のことであり、2025年4月1日に改正されました。経理・人事・法務担当者さまは新しいガイドラインを理解し、本コラムにて法改正に向けて必要な対策や影響について理解しましょう。
旅費法改正では特に旅費の支出に関するルールが見直され、公務出張や業務委託にかかる旅費の支給基準が明確化されました。
旅費法改正の主なポイントは以下の4点です。
●宿泊費の支給額見直し
●交通費の支給対象拡大
●旅行者以外の第三者への支払いに対応
●様式の廃止と手続きの簡素化
これらの改正によって出張費用の透明性を高めることができるうえ、旅費の種類及び内容に係る規定が簡素化され、従来に比べて事務作業の負担が軽減されることが期待されます。
旅費法改正の背景
旅費法改正の背景には、以下の2点があります。
●組織の透明性向上
●事務作業の簡素化と効率化
組織の透明性向上
これまでの旅費制度は、複雑な規定や不透明な支出基準が多く、旅費の支給基準が不明瞭であったため、経理・人事・法務担当者さまにとって適切な運用が難しい状況でした。
法令遵守を重視する組織が増える中で、予算の適切な管理を実現するために透明性の高いルールが求められ、旅費の取り扱いについても明確な基準と報告が求められるようになりました。
透明性のあるルールは、予算の管理や監査の面でも大きなメリットをもたらします。
出張費用の透明性が高まることで無駄な経費の削減が期待でき、管理者は経費を合理的に使うことができるため、組織全体の財務改善につながるでしょう。
事務作業の簡素化と効率化
近年のテレワークやリモート会議の普及により、出張のスタイルや必要性が大きく変わり、従来の旅費支給制度では現状に対応しきれなくなっていました。
新しい法改正は、出張の実態に即した支出基準を設けることで、無駄な手続きや書類仕事を削減し、より効率的な出張管理を実現することを目的としています。
旅費法改正の概要
旅費法改正における大きな変更点についてピックアップして解説します。
宿泊費の支給額見直し
宿泊費はこれまで定額支給されていましたが、今回の旅費法改正により上限金額の範囲内で実費支給となりました。地域ごとの実情に応じた適正な金額が設定されることとなり、出張先によって異なる物価や宿泊施設の平均的な料金を考慮した支給が行われるようになるため、柔軟性と公平性が生まれます。
具体的には、都心部では宿泊費の上限が引き上げられる一方で、地方では一定の予算内での宿泊が求められます。この調整は企業や公的機関に対して合理的な経費支出を促すものとなり、企業や公務員がどのような条件で旅費を請求できるかが分かりやすく示されることによって従来の曖昧さが解消され、トラブルの軽減が期待されています。
また、宿泊費の申請には予約確認書や領収書の添付が必要となります。これにより不正な申告を防ぎ、透明性を高めることができます。経理・人事・法務担当者さまはこの新しい基準を社内で周知し、適切な運用が行われるよう従業員へ指導することが求められるでしょう。
交通費の支給対象拡大
今回の旅費法改正では交通費の算出方法において重要な変更が加えられました。
まず、公共交通機関の利用に関する経費が見直され、移動距離や利用目的に応じた適正な支給基準が設けられました。
具体的には、座席指定料金を含む国内の鉄道賃の特別急行料金の支給について、現行の片道100km以上の距離による制限を廃止し、利用目的に応じて公務上必要であれば支給できるようになります。
従業員は出張先の交通状況や合理的な移動手段を選択しやすくなるため、より効率的に移動プランを立てることができます。また、交通機関の利用が難しい場合には、タクシーやレンタカーの使用も認められることで、臨機応変な対応が求められています。
さらに公共交通機関を利用する場合、基本料金として最寄りの駅までの運賃が支給されますが、特急やグリーン車を利用する場合は追加料金が発生するため、その条件や上限がガイドラインで定められるようになりました。
こうした交通費にまつわるガイドラインが整備されることで組織の不適切な支出を防ぎ、透明性を向上させることができます。
経理・人事・法務担当者さまは社内規程に反映させることで、交通費の適正な管理が実現できるでしょう。
旅行者以外の第三者への支払いに対応
従来の旅費制度では、旅費の請求・受給は原則として出張した職員本人が行うこととされており、旅行代理店などの外部事業者の活用は制度上想定されていませんでした。しかし、今回の旅費法改正により、旅行代理店や交通・宿泊事業者などが事前に組織と契約を結ぶことで、旅費相当額を直接請求・受給できる制度が整備されました。これにより、これらの業者が契約に基づいてサービスを提供した場合、組織は業者に直接支払うことができ、職員による立替えが不要となり、事務負担の軽減と精算業務の効率化が期待されます。
また、法人契約(コーポレート契約)による一括精算も可能となり、柔軟な運用が可能になります。
対象となる提供者には、旅行代理店のほか、鉄道・航空・バス・ホテル・引越し業者・クレジットカード会社などが含まれます。
様式の廃止と手続きの簡素化
その他の変更点についても触れておきましょう。まず、旅行命令簿や旅費請求書等の様式が廃止されるなど、出張に関連する書類の保管義務が緩和されました。デジタル化が進む昨今において、従来の紙媒体での保管に比べてより効率的な管理が可能になります。
次に、旅費の計算や申請プロセスなどの経費精算の手続きが簡素化され、従業員が不要な手間を省けるようになりました。より迅速な経費処理が促進され、出張後の負担が軽減されます。
旅費法改正による組織への影響
旅費法改正による組織への影響は以下の3点です。
●経費の透明性向上
●業務効率化
●経費削減
経費の透明性向上
旅費法改正により支出の基準が明確化されることで経費の透明性向上に繋がります。
従来は幅広い基準が適用されていたため、経費が不明瞭になることがあり、透明性を低下させてしまう原因となっていましたが、改正後は具体的な出張経費が体系化され、出張の目的や内容に基づいて適切な旅費が明示されます。
出張に際して誰がどのように費用を使ったのか詳細に把握できるため、不正利用の防止にもつながります。
また、社員にとっても、自分の出張費用が公平かつ合理的に算出されることが確約されるため、安心して出張に臨むことができるでしょう。このように、透明性の向上は、組織全体の信頼性を高める重要な要素となります。
業務効率化
業務効率化の観点で旅費法改正がもたらす影響は非常に大きいと言えます。
出張に関するプロセスが合理化されることで、企業や公的機関の法務担当者は、これまで以上に迅速に業務を進めることが可能になります。新しい旅費の算出基準により、出張費の見積もりも簡素化されます。具体的には、誰でも容易に交通費や宿泊費を把握できるようになり、ヘルプデスクや経理部門への問い合わせも減少します。
また、改正によって社内の経費承認プロセスが簡略化されることで出張時にかかる経費を計算しやすくなり、管理者の予算管理も効率化されます。職員においても特定の出張目的や利用状況に応じた柔軟な対応が可能になるため、必要な出張を無理なく実施できる環境が整い、業務効率が向上します。
このように出張に必要な手続きが簡素化され、各種書類の提出や承認が迅速に行えるようになることで従業員は出発前に煩雑な事務手続きに時間を取られることが減り、本来の業務に集中することができます。
経費削減
経費削減は、旅費法改正の大きなメリットの一つです。新しい法改正では、出張費用の基準が明確に示されているため、適正な経費を簡単に計算できるようになっています。
無駄のない予算の立て方が可能になり、計画的な出張が実現できるため、無駄な支出を避けられるようになります。
従来の不透明な経費算出方法では、コストがどこで発生しているのか把握しにくいところがありましたが、改正後は透明性が確保されることで、政府や企業にとってより効率的な支出が実現できます。
経営資源の適切な配分に寄与し、最終的には組織全体のコスト削減につながります。
法務担当者としては、これらの改正を積極的に活用し、経費削減に向けた戦略を構築することが求められています。
具体的な対応策
法改正への準備は企業さまや公的機関さまにとって非常に重要なステップです。
旅費法改正への必要な準備として以下の3点の対策が挙げられます。
●組織の旅費規程の再評価
●旅費管理のシステムの見直し
●法改正の周知
組織の旅費規程の再評価
まず第一に、組織内の旅費規程を再評価することから始めましょう。新しい法令に従った内容にアップデートすることで、職員がスムーズに新しい制度に移行できる環境を整えることができます。
特に出張が多い業種ではこれまでの経費を再評価し、新たな予算計画を立てる必要があります。多様化する働き方に対応するためにも自社の出張形態や必要経費の認識について再評価をすることで旅費支出の適正化に繋げていきましょう。
また、紙ベースの手続きの場合はフローを見直し、デジタルツールを活用することも求められます。オンラインの旅費申請システムや経費精算システムの導入により、出張中の費用をリアルタイムで記録できるだけでなく、申請手続きも簡素化されます。
また、データがデジタル化されることで、経費分析や管理が容易になるため将来の出張計画にも役立てることができます。
旅費管理のシステムの見直し
次に、既存の旅費管理のシステムの見直しが求められます。従来は紙ベースで行われていたことが多い旅費精算業務ですが、申請・承認・決済といった各プロセスを今後も紙で運用し続けることは、現場の業務負担を増加させる一因となります。旅費法改正をきっかけに、旅費精算業務をデジタル化し、改正に基づいた旅費計算や申請手続きができる機能を有する適切なシステムがあれば、旅費の計算や申請プロセスが簡素化され、業務の効率化を図ることができます。特に、リモート勤務が普及した今、業務形態に柔軟に対応できるシステムが必要です。
デジタル化によって情報の共有が迅速になることで、出張に関する決定や承認がスムーズに行えるようになります。たとえば、様々なキャッシュレス決済サービス等の利用データをシステムへ連携し、自動で旅費明細を作成する仕組みや従前は目視で審査していた旅費精算書の承認・審査において、不正や違反を自動検知する仕組みなどを活用することで、担当者の手入力の負荷軽減や入力ミスの撲滅、事務処理側の目視チェックの軽減と信頼性の向上に繋がります。
これらのシステムを積極的に活用し、改正内容に対応した新しい運用体制を構築していくことが今後は求められます。
まとめ
旅費法の改正は出張管理の効率化や旅費の透明性を高め、不正請求を減少させることが目的にあります。改正によって業務遂行時の経費精算がより正確かつ迅速に行えるようになることが期待されています。
また、コロナ禍を経て働き方の多様化に対応した柔軟な制度が求められる中で、今回の法改正は旅行命令簿や旅費請求書等の書類による申請が廃止されるなど、時代のニーズに合った内容となっています。新しい意味で旅費の取り扱いに対する考え方を見直す機会となります。
今後、経理・人事・法務担当者さまはこの改正内容をしっかり理解し、自社や所属機関における旅費規程の見直し、既存の旅費精算システムの見直しやデジタル化に対応した新規システムの導入の検討などの実践的な運用方法を模索する必要があります。法改正に関する最新情報を把握し、適切な対応を心がけていくことが、企業や公的機関にとって必要不可欠であると言えるでしょう。
NTTネクシアでは、株式会社コンカーおよびNTT東日本株式会社と連携し、自治体や国公立大学などに向けて、旅費精算業務の効率化を支援しています。改正旅費法への対応としては、クラウドサービスやBPOを活用し、業務負担の軽減と行政サービスの向上をめざしています。
旅費精算業務の見直しをご検討の際は、ぜひNTTネクシアへご相談ください。
関連するソリューション
-
自治体サポート
市民対応の効率向上とサポート強化をめざし、システム導入やマイナンバーカード交付業務、コンタクトセンターの構築など自治体・公共のお客様に最適なソリューションを提供します。
- #顧客接点(窓口)の強化
- #業務効率化
- #顧客満足(CS)・顧客体験(CX)の向上
- #市民サービスの向上
-
データエントリー
ソリューション紙帳票・データに関わらず、NTTネクシアが事務作業を代行。既存の業務プロセスの効率化に向けての業務改善提案もおこないます。
- #業務効率化
-
次世代型
コンタクトセンターAI(人工知能)・RPA(ロボットによる業務自動化)ツールを活用した次世代型コンタクトセンターの実現を支援します。
- #顧客接点(窓口)の強化
- #顧客満足(CS)・顧客体験(CX)の向上
- #市民サービスの向上
ご相談やご質問など、
お気軽にお問い合わせください。
