【自治体・公共向け】民間委託の基本から活用ポイントまで解説

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地方自治体では、限られた予算や人員の中で、市民サービスの質を維持・向上させることが重要な課題です。その解決策のひとつとして注目されているのが「民間委託」です。
それでは、民間委託の具体的なメリットやデメリット、導入に際しての注意点について詳しく探っていきましょう。

目次

行政の民間委託とは

行政の民間委託とは、自治体や国が自らの業務を民間企業に委託することを指します。これにより、自治体は限られた人員や財源の中で業務を効率化できると同時に、市民サービスの質向上を図ることができます。
いかにして自治体がこの仕組みを取り入れ、効果的に活用するかが、今後の行政運営にとって非常に重要な課題となります。

自治体が民間委託を進める理由

民間委託が多くの自治体で採用されている第一の理由は、財政面での効率化です。人件費や設備投資といった固定費を抑えつつ、高いパフォーマンスを実現するために、外部の専門企業を活用するのは極めて理にかなっています。
次に、民間企業が持つ豊富な知識や経験を取り入れることで、業務の精度やスピードが格段に向上します。
さらに、自治体職員の働き方改革の一環としても注目されています。煩雑で時間のかかる業務を外部に任せることで、職員は政策立案や地域課題への対応といったコア業務に集中できるようになり、職員のモチベーション向上にもつながります。
他にも、自治体内のデジタル化の遅れや、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が進まない状況を打破するために外部の専門力を求める傾向が強まっており、民間委託の導入がその具体的な対応策として注目されています。

民間委託の具体的な業務事例

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民間委託は、特に電話対応を含む窓口業務や申請書対応、健康促進に関する啓発活動など、対市民業務において大きな効果を発揮しています。ここでは、実際に活用されている代表的な事例を紹介します。

窓口業務の外部委託

電話対応を含めた窓口業務は、住民との直接的な接点となる重要な行政サービスの一つです。住民票や各種証明書の発行など、日常的な業務を民間に委託することで、自治体職員はより高度な業務に集中でき、全体の運営効率が高まります。
民間業者は、対応力を維持するために専門のスタッフを配置し、継続的な研修を実施しています。繁忙期には人員を増やすなど柔軟な対応も可能で、待ち時間の短縮や対応スピードの向上につながります。市民にとっても、安定したサービス提供を受けられる環境が整い、利用満足度の向上が期待されます。

申請書・申告書の受付審査業務

住民票の写しの交付申請、介護認定申請、税務申告、補助金交付申請など、行政は多くの種類の申請書に対応する必要があります。
形式的な不備の有無を確認し、必要な書類を受理・整理・入力するといった事務処理を委託することで、自治体職員は審査基準の設計や制度改正対応など、より高度な政策的業務に集中することができます。
民間業者は、RPAを活用したデータ入力の自動化などに関して、ツールの導入から業務体制の構築、運用まで一気通貫したサポートが可能です。導入段階から手間取ることなく運営まで進められるため、職員に知見がなくても安心です。

特定健診・がん検診の受診勧奨業務

住民の健康維持・増進を目的とした特定健診やがん検診の案内業務も、民間委託により効率化が期待される領域です。自治体職員だけでは手が回らない部分を補完する形で、受診率向上に寄与しています。
ダイレクトメールや電話による個別アプローチに加え、民間業者が持っている効果的なメッセージ設計のノウハウをいかすことで、検診の重要性が適切に伝わり、市民の受診行動につながるケースが増加しています。
その結果、業務の効率化とともに、住民の健康意識の向上や医療費抑制にもつながる好循環が生まれ、自治体にとっても大きなメリットとなります。

自治体の民間委託について、以下の導入事例集もご用意していますのでぜひ参考にしてみてください。

民間委託のメリット

専門性を持つ外部企業に業務を委ねることで、自治体はリソースを効果的に活用できますが、導入に際してはメリットとデメリットの両面を理解しておく必要があります。 民間委託のメリットとして、以下の3つが挙げられます

  • コストパフォーマンスの向上
  • サービス品質向上の可能性
  • 災害時のリスク分散

それぞれ詳しく見ていきましょう。

コストパフォーマンスの向上

民間委託によって得られる最大のメリットの一つは、限られた財源の中でのコスト効率の向上です。民間企業の専門知識を活用することで、高品質な業務を低コストで実現でき、職員の業務負担も軽減されます。 また、複数の民間企業が競争することで、コストとサービス品質の最適化が進み、費用対効果の高い行政運営が可能となります。

サービス品質向上の可能性

民間企業は各分野で実績やノウハウを有しており、効率的で高水準なサービスの提供が可能です。とくにIT関連や市民対応業務などでは、迅速かつ丁寧な対応が自治体の評価にも直結します。
市民サービスの質を高めるという点においても、民間の力を借りる意義は大きく、結果として住民満足度の向上にも寄与します。

災害時のリスク分散

災害や緊急事態発生時にも、民間委託の仕組みは有効に機能します。業務の一部を委託しておくことで、自治体職員は重要な指揮・判断業務に専念でき、柔軟で迅速な対応が可能になります。
たとえば、避難所の運営や被災情報の収集などを民間に任せることで、自治体全体の災害対応力が強化され、リスクの分散と業務の継続性確保につながります。

民間委託のデメリット

民間委託には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットも理解しておくことが重要です。

  • ノウハウの蓄積における課題
  • 連携不足による業務品質の低下

ノウハウの蓄積における課題

民間委託には効率化の側面がある一方で、職員の知識やスキルの蓄積が進まないという問題もあります。業務を外部に任せることで、職員が実務を経験する機会が減少し、結果として自律的な業務遂行能力が低下する可能性があります。
緊急時に委託先の対応が困難な場面では、内部に十分なノウハウがないことがリスクとなるため、業務設計やマニュアルを把握し、バランスを取ることが必要です。

連携不足による業務品質の低下

もう一つのデメリットは、委託先との連携が不十分な場合に起こる業務の質の低下です。期待する成果や目的が適切に共有されなければ、企業側が誤った方向で業務を進めてしまうことがあります。
進捗状況の報告や課題の共有が滞ると、問題の早期発見や対応が難しくなり、市民サービスにも影響を及ぼします。これを防ぐには、 定期的な情報交換や評価、相互の信頼関係構築が不可欠です。

成功する民間委託のポイント

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成功する民間委託には、ポイントが3点あります。それぞれのポイントについて詳しく解説します。

  • 適切な委託先の選び方
  • 契約形態の工夫
  • 民間委託後のモニタリング

適切な委託先の選び方

民間委託を効果的に進めるには、信頼できる委託先を選定することが極めて重要です。まず注目すべきは、過去の実績やクライアントからの評価です。実際の業務経験や、業界内での信頼度を把握することで、リスクの少ない選定が可能になります。
また、業務に必要な専門知識を十分に備えているか、自治体のニーズに柔軟に対応できるかどうかも大きな判断材料となります。変化する状況や住民ニーズに的確に応えられる企業であれば、安定した業務運営が期待できます。
さらに、日常的な連絡や意見交換がスムーズに行えるかどうかも確認しておくと安心です。
NTTネクシアでは、多くの自治体さまの支援実績に加えて、25年以上の経験で培った専門人材の育成・品質管理、NTTグループの総合力を生かしたソリューション提供が可能です。

契約形態の工夫

契約のあり方も、民間委託の成功に影響を与える大切な要素です。契約には固定価格契約、従量契約、成果報酬契約などがあり、それぞれに適した用途があります。
たとえば、目標が明確な業務であれば、成果に応じて報酬が決まる「成果報酬型契約」が適しています。これは、委託先にとっても目標達成の動機づけとなり、双方にとってメリットがあります。一方で、作業内容が安定している場合は、コスト面でも管理がしやすい「固定価格契約」が適しているでしょう。
また、契約期間や見直しのタイミングも工夫が必要です。短期間での契約と評価を繰り返すことで、柔軟な見直しや改善が可能になり、より良い運用につながります。

民間委託後のモニタリング

民間委託後のモニタリングも、委託の成果を確保するための鍵となります。モニタリングでは、まず定期的に業務の進行状況を確認する体制を整えることが重要です。定例の進捗報告を通じて、目標に対する到達度や課題を把握できるようにしましょう。
加えて、委託先からのフィードバックを受け、必要に応じて業務改善を行うことで、業務の質を維持・向上させることができます。
最終的には、契約通りの成果が上がっているかどうかを定期的に評価し、必要に応じて契約や業務フローの見直しを行うことが、持続可能な委託運用の鍵となります。

各自治体に適した委託先の選定ポイントを以下の資料で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

自治体におけるDXと民間委託

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デジタルトランスフォーメーション(DX)は、自治体がめざす業務効率化や市民サービスの高度化を実現するうえで欠かせない取り組みです。
民間委託はDXを補完・加速させる選択肢として注目されています。

DXの進展と民間委託の相乗効果

DX(デジタルトランスフォーメーション)と民間委託は、それぞれの強みをいかしつつ、相互に補完し合う関係にあります。DXの導入によって、自治体業務は効率化が進み、データ分析や電子申請などの新たな行政サービスも可能になります。
また、民間委託により日常的な業務の一部を外部に任せることで、自治体職員はコア業務に集中できます。
NTTネクシアでは、従来は紙媒体で発行していた地域振興券をデジタル化してポイント制にした地域通貨事業の構築運営や、水道局コールセンターからの連絡にSMSを導入した水道事業の効率化など、豊富なDX支援実績があります。

自治体職員を対象としたDX研修

DXを進めるには、技術導入だけでなく、それを運用する職員のスキルと意識の向上が不可欠です。そこで必要なのが自治体職員を対象としたDX研修です。この研修では、ICTの基礎やデータ分析の方法だけでなく、実務への具体的な活用方法に重点が置かれます。単なる知識習得にとどまらず、ケーススタディやシミュレーションを通じて実践力を養う内容となっています。
さらに、研修は職員同士の横のつながりを強める機会にもなります。部署を超えたコミュニケーションにより、柔軟で創造的な解決策が生まれやすくなります。

自治体業務のDXにおける課題や事例、最適なソリューションなどについては以下の資料で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

自治体にとって民間委託は、単なる外注ではなく、業務改革の一環です。特にDXと併用することで、その効果はより大きくなります。
NTTネクシアは、チャットやメールなど複数のチャネルに対応したコンタクトセンター運営や、業務プロセス全体の効率化を支援するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス、また、これらの業務の構築から運用までをワンストップで提供するなど、豊富なノウハウをいかして自治体さまそれぞれに合ったソリューションを提案します。
民間委託を検討されている自治体の関係者の方は、ぜひNTTネクシアの活用をご検討ください。

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