戸籍法改正を4つのポイントで解説!自治体への影響や外部委託のメリットを紹介

  • #業務効率化

シェア

戸籍法改正を4つのポイントで解説!自治体への影響や外部委託のメリットを紹介

目次

戸籍法改正により、行政手続きにおける住民の利便性向上が期待できます。一方で各自治体においては、法改正に伴う顧客対応やデータの不備確認などにより業務がひっ迫することが懸念されています。そのため新規業務の発生に備えて、体制整備を行いたい自治体は多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、法改正に伴う自治体への影響や新規業務を外部委託するメリットを詳しく解説します。戸籍法改正のポイントも分かる内容となっているので、職員の負担増加や業務ひっ迫を懸念している自治体さまはぜひ参考にしてみてください。

戸籍法改正の4つのポイント

戸籍法改正の4つのポイント

戸籍法改正による変更点は、以下の4つです。

  • 戸籍の氏名に「ふりがな」付与が必要
  • 行政手続きにおいて戸籍謄抄本の添付が不要
  • 戸籍の届出において戸籍謄抄本の添付が不要
  • 本籍地以外で戸籍謄本を取得可能

今回の法改正に合わせて、法務省に新システムが構築されます。戸籍の副本にある情報を利用して、親子関係やその他の個人の身分に関する内容を戸籍情報として新システムに蓄積します。今回の法改正では、法務省に構築される新システムの活用が大きなポイントです。詳しい内容を本章にて解説します。

戸籍の氏名に「ふりがな」付与が必要

戸籍は出生から死亡に至るまでの親族関係を登録・公証するものであり、日本国籍を公式に証明する唯一の制度とされています。これまで戸籍を登録する際の氏名は「漢字表記のみ」でしたが、法改正後は「ふりがな」の記載が義務付けられます

すでに登録されている氏名については、戸籍法改正が施行されてから1年以内に本籍地のある市区町村で「ふりがな」の申請を行わなければなりません。期限内に申請されない場合は、本籍地の市区町村長が把握している読み仮名が登録されます。新生児においては、出生届に記載された「ふりがな」が戸籍に反映されます。さらに今回の戸籍法改正では「氏名に用いられる文字は一般的な読み方として認められていること」が規定に加わりました。「ふりがな」を付与することで、行政機関の窓口業務の円滑化や誤情報の登録防止効果が期待できます。

行政手続きにおいて戸籍謄抄本の添付が不要

行政手続きにおいては、法務省の新システムとマイナンバー制度のために作られた「情報提供ネットワークシステム」を使って情報の照合を行えるようになります。各種社会保障の手続きの際、記載したマイナンバーを利用することで親子関係や婚姻関係等の確認が可能です。そのため、従来手続き時に必要だった戸籍謄抄本の添付が不要となります。行政手続きの例は、以下のとおりです。

  • 児童扶養手当受給における続柄や死亡の事実・婚姻歴の確認
  • 国民年金の第3号被保険者の資格
  • 奨学金の返還免除における死亡の事実確認
  • 健康保険の被扶養者認定における続柄の確認

ただし、ケースによっては従来どおり戸籍謄抄本の添付を求められる場合があります。

戸籍の届出において戸籍謄抄本の提出が不要

各市区町村は、法務省の新システムに登録されている戸籍関係情報を閲覧できるようになります。そのため婚姻届や養子縁組など、あらゆる戸籍の届出において戸籍謄抄本の提出は不要です。提出した戸籍の届書を電子化することで戸籍事務が効率化され、新しい戸籍謄抄本を速やかに発行できる仕組みが作られます。

本籍地以外で戸籍謄本を取得可能

現行の法律では、戸籍謄本を取得するために本籍地や除籍地に出向かなければなりません。しかし法改正後は法務省の新システムにより、全国各地の市区町村で戸籍謄本を一括請求・取得できます。近隣の市役所などで取得できるので、住民の利便性向上につながるでしょう。

さらに、電子的な戸籍記録事項証明情報である「戸籍電子証明書」の発行も可能になります。オンラインでの発行もできるので、日本国内のどこにいても戸籍を取得できるようになります。

戸籍法改正の背景

戸籍法改正の背景

今回の戸籍法改正の背景には、以下の3点が関係しています。

  • 個人情報保護
  • 住民の利便性向上
  • マイナンバーカードの利用拡大

近年、デジタル技術を活用した変革が求められています。自治体においては、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)に課題を抱えている場合も多いです。今回の戸籍法改正により、行政手続きの円滑化や住民の利便性向上が期待されています。

個人情報保護

家族や親戚が亡くなった際、相続や保険金請求の手続きを行うために遺族は故人の戸籍謄本を取得しなければなりません。故人の出生から死亡に至るまでの連続した戸籍謄本が必要になるので、複数本籍地がある場合はすべての市区町村に出向いて手続きを行う必要があります。

自力で複数の本籍地に出向くのは困難な場合もあり、司法書士や行政書士など国家資格を有する専門家に依頼して職務上請求を行うケースが多いです。一方で、職権を悪用して不正請求を行う事件が発生しており、個人情報保護の観点からも法改正の見直しが求められていました。相続手続きを円滑に進めるために設けられていた権利でしたが、今回の法改正で「専門家による一括請求は認めない」とし、不正請求や不正利用の防止につなげる考えです。

住民の利便性向上

戸籍の取得が必要な状況として多いのが、家族や親戚が亡くなったときです。現行では、戸籍を取得するために本籍地や除籍地に出向かなければなりません。しかし、法改正後は本籍地以外の市区町村ですべての戸籍を取得できるようになります。

また法改正後はマイナンバー制度を利用するため、行政手続きでの戸籍謄抄本の添付が不要です。児童扶養手当や国民年金など、これまで戸籍謄抄本の添付が必須だった行政手続きの手間が省かれ、利用者の利便性向上が期待できます。

マイナンバーカードの利用拡大

マイナンバーと連携することで、さまざまな行政手続きの簡素化や効率化を図るねらいがあります。そのためには、戸籍の氏名にふりがなの付与が不可欠です。理由は、マイナンバーカードを利用して給付金や税金の還付などを行う際の照合作業のためです。

戸籍にふりがながないと自動で照合できないため、受給のたびに自治体職員の手によって確認作業をしなければなりません。非効率な作業の発生を回避するため、戸籍法改正に「ふりがな付与」が盛り込まれています

マイナンバーカードの普及活動や申請対応の効率化を図るには、アウトソーシングの活用がおすすめです。関連記事の「【23年最新】マイナンバー対応の3つの課題はアウトソーシングで解決!委託先選定のポイントを紹介」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

戸籍法改正に伴い発生する自治体業務

戸籍法改正に伴い発生する自治体業務

戸籍法改正により、住民の利便性向上が期待できます。新システムの構築やマイナンバーとの連携により、行政手続きにおける手間や負担を大幅に減らせる見込みです。一方で戸籍法改正に伴い、自治体では追加業務が発生します。この章では、戸籍法改正に伴い発生する自治体業務について解説します。

住民基本台帳や戸籍システムに基づくデータ作成

従来の戸籍システムにはふりがなの付与はないので、新たにデータを作り直さなければなりません。なかには住民基本台帳を電子化する際に便宜的にふりがなを付与している自治体もあります。そのことにより、マイナンバーカードの申請開始時に「間違ったふりがなを付与」しているなど問題も発覚しています。

すでに戸籍がある場合のふりがな登録は「改正法施行後1年以内に国民全員が自ら届出を行う」としているため、順次データの作り直しを行わなければなりません。

住民への「ふりがな」確認通知業務

氏名へのふりがな付与は国民の届け出により登録するとしていますが、現実的には難しい部分も予想されます。少しでも届出を促進するため、各自治体より住民に向けて「ふりがな」の確認通知書を出す必要性もあるでしょう。

現在認識されている「ふりがな」を提示し、届け出なかった場合の取り扱いを明確にした書面を発行するなど、自治体側からのアクションが必要になることが考えられます。確認通知を行うことで、届出がない場合は「住民基本台帳やパスポートなどの情報をもとにして市区町村の職権によって記載される」ことを本人に理解してもらえます。

住民からの申請受付対応

ふりがな登録は住民からの届出で行われるため、自治体職員が受付対応を行わなければなりません。届出は、書面またはマイナポータルを使って行われる予定です。届出に不備があった場合は、個別連絡や説明が必要になります。

申請データの入力

紙やデータで申請された内容を、戸籍システムに入力する作業が必要です。入力時にミスがないかの確認も必要なため、自治体職員への負担増加は非常に大きいと考えられます。万が一、市区町村役場の入力ミスにより誤記された場合は法務局の許可を経て訂正が可能です。

しかし市区町村役場での入力ミスと認められなかった場合は、相続人や親族などの利害関係人が家庭裁判所に訂正の申し立てを行わなければなりません。住民に多大な迷惑をかけることになるため、申請データの入力作業は慎重に行う必要があります。二重チェックやITツールの活用など、正確かつ効率の良い作業が求められます。

戸籍法改正に伴う追加業務は外部委託が可能

戸籍法改正に伴う追加業務は外部委託が可能

社会全体で労働人口の減少が問題となっており、自治体運営においても人手不足に課題を抱える市区町村は多いです。そこで人手不足の課題を解消するため、自治体業務の外部委託が注目されています。戸籍事務も民間企業への外部委託が認められているので、今回の法改正に伴う追加業務の依頼も可能です。

戸籍法改正に伴う追加業務を外部委託で対応する場合は、BPOの活用がおすすめです。BPO業者委託先選定のポイントを解説した資料を以下のリンク先からダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

BPOベンダーの4つの選定ポイント!導入ステップと委託できる業務も解説

戸籍法改正の対応に外部委託を活用するメリット

戸籍法改正の対応に外部委託を活用するメリット

戸籍法改正に伴う対応を外部に委託することで、以下のようなメリットを得られます。

  • 自治体職員の負担軽減
  • 申請業務の効率化

人手不足に悩む自治体においては、職員の業務負担増加は悩ましい問題です。また申請業務がスムーズに行えなければ、通常業務にも影響する可能性が高まります。そのような問題を解決する方法の1つが外部委託です。この章では外部委託を活用するメリットを解説するので、法改正に伴い発生する業務への対応でお困りの自治体さまは、ぜひ参考にしてみてください。

自治体職員の負担軽減

自治体職員は通常業務に加え、返送物のチェックや届出処理などの作業が必要になります。住民全員分の処理を行わなければならないため、自治体職員への負担増加は非常に大きいものとなるでしょう。また申請期間は改正法施行後1年以内と決められているので、業務がひっ迫する可能性が高いです。

ふりがな登録に関する業務を一括して請け負う受託事業者であれば、戸籍法改正に伴う追加業務のための人材確保やシステム導入が必要なくなります。職員への負担を増やすことなく、円滑なふりがな登録業務を実現できるのがメリットです。

申請業務の効率化

住民からの届出によってふりがなの登録を行うため、申請書類の確認やデータ入力など多くの作業が発生します。すべての作業を自治体職員のみで行う場合、通常業務と並行して処理しなければなりません。窓口業務や住民対応に追われて、ふりがなの登録作業が滞る可能性が高いです。

外部委託を活用することで、ふりがな登録に関する業務の一切を任せられるので、通常業務への支障を最小限に抑えられます。またコールセンターを持つ受託事業者であれば、郵送物だけでなく電話やWebを活用した届出促進が可能です。受託事業者の持つノウハウやツールを活用することで、申請業務の効率化が図れるでしょう。

導入事例:システム導入による業務効率化で市民サポートの充実化を図る

戸籍法改正に伴う追加業務への対応でお困りの自治体さまは「NTTネクシア」へ

戸籍法改正に伴う追加業務への対応でお困りの自治体さまは「NTTネクシア」へ

戸籍法改正後は、戸籍への「ふりがな」付与が義務付けられます。すでに戸籍がある場合は、国民からの届出により「ふりがな」を登録しなければなりません。そのため自治体においては、申請書類の確認やデータ入力などの追加業務が発生します。なお申請期間は法改正後から1年以内とされており、ふりがな付与に関する問い合わせや登録作業など自治体の業務ひっ迫が予想されます。

NTTネクシアでは問い合わせ対応だけでなく、申請に関連する書面の印刷から発送までの準備や返送物の不備チェックなどの支援が可能です。ほかにも識別コード付与や郵送だけでなく、LINEやWebを活用して住民の回答率向上を実現します。戸籍法改正に伴う追加業務対応でお困りの自治体さまは、さまざまなソリューションを活用できる「NTTネクシア」へぜひご相談ください。

データエントリーソリューション

次世代型コンタクトセンター

導入事例:システム導入による業務効率化で市民サポートの充実化を図る

参照文献:戸籍法の一部を改正する法律の概要(法務省)

シェア

ご相談やご質問など、
お気軽にお問い合わせください。

ご相談・お問い合わせはこちら