【必見】マネロン対策4選!本人確認の方法や手口に対する防止策を分かりやすく解説

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画像:【必見】マネロン対策4選!本人確認の方法や手口に対する防止策を分かりやすく解説

テロ組織などの犯罪集団は、あらゆる手を使い資金を集めています。この資金源を断つために、マネロン対策が推奨されていますが「何から手を付ければ良いか分からない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、実際に金融庁が取り組んでいるマネロン対策や、企業が取るべき対策を紹介します。より効果的に対策を行うには、マネロンの知識を深めて行くことが重要です。

またマネロンに巻き込まれるのは、金融機関だけではありません。あらゆる企業が関与してしまう可能性があるので、徹底的に対策しましょう。

目次

マネロン対策について概要を解説

画像:マネロン対策について概要を解説

不正取引やテロに関するニュースで「マネロン」という言葉を見かけるようになりました。しかし「マネロンって何?」と疑問に感じている人も多いでしょう。

そこで本章では、マネロンの概要を分かりやすく解説します。またマネロンを紹介するうえで欠かせない、国際組織のFATFについても解説するので併せてご覧ください。

マネロン(マネー・ローンダリング)とは

マネロンは「マネー・ローンダリング」の略称で、資金洗浄という意味があります。マネロンとは、犯罪や不正取引で得た資金を、他人名義の口座へ振込をして出所を分からなくする行為のことです。

犯罪集団は架空または偽名の銀行口座を利用して、盗品や詐欺などで得た収益の出どころを分からなくします。転々と送金を繰り返すことで所有者を隠し、捜査機関による調査や摘発から逃れようとします。

このような、不当な収益を生み出すマネロンはもちろん犯罪行為です。企業が気を付けるべきことは、相手の金銭が不正で得た収益であることを知りながら受け取ることです。このような行為が発覚した場合は、組織的犯罪処罰法にあたります。

マネロンで集められたお金は、テロ組織などの犯罪集団の資金源になります。犯罪集団にお金が渡るのを防ぐために徹底したマネロン対策を行い、疑わしい取引に巻き込まれないようにしましょう。

マネロン対策を行う国際組織「FATF」とは

FATF(Financial Action Task Force on Money Laundering:金融活動作業部会)とは、マネロンやテロ資金に関する手口や傾向を研究している国際組織です。欧州を中心に日本・米国・中国など37ヵ国の国が参加しており、本部はパリにあります。

日本はFATF設立当初のメンバーであり、1998年〜1999年まで議長国を務めました。FATFの主な活動内容は、以下のとおりです。

  • マネロンやテロ資金対策の国際基準の策定や修正
  • FATF参加国の取り組みを相互審査
  • 非協力的な国や地域における勧告遵守の推奨

FATF参加国が互いに審査し合い、40項目の法令整備状況(40の勧告)などを確認し評価します。もちろん日本も過去に相互審査が行われており、これまで計4回の審査を受けました。

2019年に行われた4回目の審査では、真ん中レベルの「重点フォローアップ国」となっています。一番下の観察対象国は避けられましたが、今後5年間の間に3回程度の報告をする義務があります。

金融庁が取り組んでいるマネロン対策4選

画像:金融庁が取り組んでいるマネロン対策4選

企業がマネロンに巻き込まれないようにするためには、自社に合う対策をする必要があります。しかし、具体的なマネロン対策について「よく分からない」とお困りの方も多いでしょう。

そこで本章では、金融庁が取り組んでいる以下のマネロン対策を紹介します。

  • KYC(顧客の本人確認)
  • BO(実質的支配者)チェック
  • デューデリジェンス(リスク調査)
  • スクリーニング(審査・選別)

マネロン対策は金融業界だけでなく、他の事業者も取り組むべきものです。架空請求や不正取引に巻き込まれないよう、しっかりと対策をしておきましょう。

またマネロン対策における、金融庁の取組は以下のとおりです。こちらは一部の紹介になるので、詳しくは金融庁の取り組みなどがまとめて記載されている、「マネロン対策の現状と課題」をご覧ください。
 

2018年 (2月)マネロン対策のガイドライン策定・公表
2019年 (3月)定期報告徴収(取引実態・ギャップ分析)
(4月)ガイドライン改正
2020年 (3月)定期報告徴収
2021年 (2月)ガイドライン改正
(8月)FATF第4次日相互審査結果の公表
2022年 (3月)改正資金決済法案提出

KYC(顧客の本人確認)

KYC(Know Your Customer)には、顧客の本人確認という意味があります。例えば、銀行の窓口で新しく口座を開設する場合、本人確認をすることがKYCです。

最近では、キャッシュレス決済が普及していることから、金融機関だけでなくフリマアプリなどの幅広いサービスでKYCは活用されています。また、KYCには以下の目的があります。

  • 不正利用の防止
  • 企業のリスクマネジメント
  • マネロン対策

サービスの取引時に顧客の本人確認を怠ると、不正送金に繋がる恐れがあります。不正送金の発生が確認された場合、企業の信頼が失墜しかねません。このような事態にならないためにもKYCを徹底し、犯罪集団に加担しない体制を整えておきましょう。

BO(実質的支配者)チェック

BO(Beneficial Owner)とは、取引先の実質的支配者という意味です。BOチェックの目的は、取引で誰が利益を得ているのかを把握することです。例えば、口座管理者や最終的な受益者が「想定している人と異なっていないか」などを確認します。

本人確認の際などに疑わしい取引が発生した場合は、企業は金融庁長官へ届出の義務があります。BOチェックによる日本の届出件数は年々増加傾向にあり、その数は年間40万件程です。

企業は取引先の背後に、怪しい組織が隠れていないか確認することが大事です。対策の1つとしてBOチェックを行い、犯罪組織に利益が渡ることを防ぎましょう。

デューデリジェンス(リスク調査)

デューデリジェンスは「正当な努力」という意味があり「DD(ディーディー)」と略されることもあります。デューデリジェンスの目的は、企業経営や財務状況を調査し企業の実態を確かめることです。

デューデリジェンスは、企業を色々な側面から調査します。一般的には、以下のようなデューデリジェンスが行われます。

  • ファイナンシャル(財務に関する調査)
  • ビジネス(事業に直結する内容の調査)
  • 人事(人事制度や運用など人事に特化した調査)
  • IT(情報システムに関する調査)

マネロン対策においては、ビジネスデューデリジェンスが一般的です。企業の実態を確かめるために、取引先や関係先を含めて調査します。

また反社会的集団やテロ組織との関わりの有無を知るには、経営陣の関係性なども重要なポイントです。すべての企業を細かく調査するには時間や労力が掛かるため、優先順位を付けて調査されます。

スクリーニング(審査・選別)

スクリーニングは「審査」や「振るい分け」という意味があります。マネロン対策におけるスクリーニングは、取引情報と制裁対象者を審査し選別することを目的としています。

最近では、M&A(企業の合併や買収)により複数の会社が1つになるケースが増えました。以前と企業名は同じでも「事業内容は全く違う」といったケースも珍しくありません。

このようにM&Aを行うことで、事業者の実態が分かりづらくなっています。そのため、デューデリジェンスなどの調査が完了した後も、定期的にスクリーニング調査を行う必要があります。

定期的に診査や選別をすることで、マネロンリスクを低下させることが可能です。不正集団との関わりがないか調べるためにも、徹底した調査が重要になります。

【ケース別】マネロン対策における本人確認の方法

画像:【ケース別】マネロン対策における本人確認の方法

金融機関や各事業者は、マネロン対策における本人確認が必須事項です。本人確認の内容は、個人と法人では異なる部分があります。

そこで本章では、マネロン対策における本人確認の方法を個人と法人に分けて解説します。ケース別の対策を知り、適した方法でマネロン対策をしましょう。

顧客が個人の場合

顧客がマネロンを行っているかどうかは、特定事業者に確認の義務があります。特定事業者とは、金融機関や貴金属取扱事業者など、犯罪による収益を分からなくするために利用されやすい機関です。

特定事業者は顧客が個人の場合、以下の本人確認が義務付けられています。

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日

上記の本人特定事項に加え、取引の目的や職業について顧客による申告や本人確認書類で確認をします。本人確認には、運転免許証など顔写真付きの書類が必要です。

保険証などの写真付きではない書類を用いた場合は、追加措置として関係書類を自宅へ送付することが義務付けられています。他の本人確認書類や公共料金の領収書などの提示をしてもらい、確実に本人確認を実施しましょう。

顧客が法人の場合

顧客が法人の場合は、本人特定事項(名称・本店所在地)の確認が義務付けられています。また事業に関する以下の内容も確認します。

  • 実質的支配者
  • 事業内容
  • 取引の目的

確認には、登記事項証明書や印鑑登録証明書などの書類が必要です。ただし、法人が発行した社員証は、本人確認書類として適用されません。

また申告方法は、窓口での聴取の他にメールやファックス、書面での受理が認められるケースもあります。なりすましや疑いのあると判断した場合は、追加の質問や提出書類を行いましょう。

マネロンの多様な手口に企業が取るべき対策3選

画像:マネロンの多様な手口に企業が取るべき対策3選

マネロンの多様な手口に巻き込まれないためにも、企業は事前に対策をする必要があります。そこで本章では、企業が取るべき基本的なマネロン対策を3つ紹介します。

  • マネロンに関する知識を深める
  • リスク調査を行い社内共有をする
  • 疑わしい取引を検知する

上記以外にも様々な対策がありますが、まずは基本の対策を知りたいという方はぜひご覧ください。

マネロンの知識を深める

不正トラブルなどに巻き込まれないためには、マネロンに関する知識を深めることです。マネロンは、金融機関に限らず他の事業者も他人ごとではありません。不正取引で得た収益の出所を分からなくする場所として、利用されるケースがあるため注意が必要です。

不正取引に加担したことが発覚した場合、制裁金や制裁措置を受けることもあります。例えば、貴金属事業者の場合、盗品と知らずに買取をしてしまうなどのリスクが潜んでいます。

このように意図せずともマネロンに関わってしまうと、企業の信頼や価値が落ちてしまうことにもなりかねないので、知識を深めて対策していきましょう。

マネロンに関する情報は、次々と新しく更新されます。インターネットで調べる場合は、信頼性が高く情報の更新頻度が高い警察庁のサイトがおすすめです。

リスク調査を行い社内で共有する

マネロンに巻き込まれるリスクは、各事業者や業種によって異なります。まず、どのような場面でリスクが発生しやすいか調べましょう。

マネロンのリスク調査の結果は、上層部だけでなく社内全体で共有する必要があります。社内におけるリスクの認識を現場担当者へ共有することで、より効果的にマネロン対策ができます。不正利用の兆候にいち早く気づくためにも、リスク調査の結果を経営者や役員以外の従業員に必ず周知するよう徹底しましょう。

疑わしい取引を検知する

疑わしい取引は、基本的に本人特定事項の確認を行う現場担当者が検知します。現場担当者は「顧客の取引先」や「取引の内容」なども把握しましょう。それでも、疑わしい取引を検知することは簡単なことではありません。

取引の確認事項は「どの資料を使用すべきか」などの社内ルールの策定や、従業員のトレーニングを取り入れてマネロン対策を行いましょう。また顧客に問い合わせをする手段の1つとして、SMSの利用が進められています。一般的な電話と併用してSMSを使うことで効率的に確認ができます。

NTTネクシアではSMSを活用したマネロン対策を提案しています

画像:NTTネクシアではSMSを活用したマネロン対策を提案しています

顧客の本人確認を行う金融機関などは、長期的な確認作業が欠かせません。一般的には電話やメールなどを用いて定期的に確認することが多いですが、SMSなどの複数チャネルを利用することで本人確認の完了率をあげることができます。

他にも、SMSを利用するメリットは以下のとおりです。

  • メールよりも開封率が上がる
  • 要件を確実に伝えられる
  • お客様の履行率向上に繋がる

このようなメリットが受けられるNTTネクシアのSMSサービスは、SMS配信を効果的に活用して返信が滞ったお客様へのフォローを行います。また、本人確認業務で必要になるご案内の送付、問い合わせ受付も可能です。SMSを活用してマネロン対策に取り組みたい方は、ぜひNTTネクシアにご相談ください。

安心してビジネスを続けるためにマネロン対策を徹底しましょう

画像:安心してビジネスを続けるためにマネロン対策を徹底しましょう

マネロンは資金洗浄という意味があり、犯罪や不正取引で得た資金の出所を隠す行為です。日本は国際組織のFATFに結成当初から参加しており、マネロン対策を国際基準で策定・見直しをしています。

マネロンの基本の対策方法は以下のとおりです。

  • KYC(顧客の本人確認)
  • BO(実質的支配者)チェック
  • デューデリジェンス(リスク調査)
  • スクリーニング(審査・選別)

この対策は、金融庁でも取り組まれています。金融機関に限らず、マネロンに利用されやすい貴金属取扱事業者などの特定事業者も他人事ではありません。

マネロン対策を行うには、SMSなどの複数チャネルを利用することも有効です。安心してビジネスを続けるために、企業が取るべき対策を徹底しましょう。

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