進化させた生成AI(ChatGPT)の活用でコンタクトセンターの品質向上と作業効率化に成功

モビルス株式会社さま/NTTネクシア デジタル革新部 島田 ・ センター運営部 白鳥

  • #エネルギー
  • #メーカー
  • #出版・マスコミ
  • #官公庁・自治体
  • #情報通信
  • #金融
  • #食品・小売・サービス

シェア

コンタクトセンターでのコミュニケーター業務の応対品質の向上や効率化を目指して生成AIの一つであるChatGPTを導入した事例をご紹介。プロジェクトを牽引したデジタル革新部の島田さんと、センター運営部で現場の生産性や応対品質を管理するマネージャーを務める白鳥さん、そして、ChatGPTを活用したサービスの開発会社であるモビルス株式会社の湯浅さまにお話しをお聞きしました。

ミニマムスタートを目論んで実証実験に着手。

NTTネクシア 島田さん:
昨今話題になっているChatGPTをはじめとする生成AIについて、私どもが運営しているコンタクトセンターにおいてどのように活用できるかを検討するなかで、ファーストステップとしては、カスタマー応対の自動化よりも先に、コミュニケーター業務の効率化、品質向上というところに目標をおいて実証実験に入りました。
生成AIはまだまだ進化途中であり、誤回答もあるため、センターの本格業務を担うところまでは行っていないのではないかと予測していました。そのため、応対業務そのものではなく、応対のための情報整理、応対後の管理業務をサポートする、電話応対の魅力を向上するためのツールという位置づけで考えていました。

応答効率を上げ、自己解決率を改善するオペレーション支援AIを使用して実証実験へ。

モビルス社 湯浅さま:
弊社では生成AI(ChatGPT)を活用した「MooA」というサービスを提供しています。「MooA」は高度な音声認識と自然な日本語でのスピード出力が特長のコンタクトセンター向けにカスタマイズしたChatGPTです。具体的にはお客さまとコミュニケーターの会話音声から応対履歴要約を自動生成でおこなうことができ、また応対履歴から意図抽出をおこなってFAQを自動生成することが可能です。

    NTTネクシア 島田さん:
    ChatGPTのエンジンの活用は、まだ高いAIスキルを要するもので、業務スキルとAIスキルの双方を組み合わせ、より良い使い方を目指すためには、AIスキルがあり、コンタクトセンター業務も熟知したモビルス社さまのソリューションは魅力でした。
    では、どこで実証実験をおこなうか、といったときに候補に挙がったのが、当社のサービス「ハローダイヤル」でした。「ハローダイヤル」では熟練したコミュニケーターが登録企業さまからの多岐に渡るお問い合わせに応対していますが、ご案内するコンテンツの入れ替わりが激しいなかでニーズを的確に把握してご案内するために、臨機応変かつ高度な応対が求められています。

    • ハローダイヤルサービスイメージ

    実証実験で、期待以上の効果とさらなる可能性を実感。

    NTTネクシア 島田さん:
    先ほどもお話ししましたが、正直なところ当初は大きな期待はしていなくて、取り組むことに意義があり、実用化はまだ先だと思っていました。

    NTTネクシア 白鳥さん:
    実証実験では、コミュニケーターの実用性を考慮して、たとえば、音声データの要約の項目であったり、アウトプットの仕様などに要望を出し、調整いただきました。

    NTTネクシア 島田さん:
    音声データの自動要約に関しては高い精度があることがわかりました。この精度を見極めることが実証実験の主な目的だったのですが、さらに使い方によっては応対履歴の傾向を見把握したり、カスタマーの満足度等をサマライズできるということがわかってきました。
    目論んでいたコミュニケーター業務の効率化はもちろん、それをベースにクライアントさまにどんな付加価値を提供できるかを検討するというネクストステップが見えてきたのは、大きな成果でした。

    • 実証実験の取り組み図

    ChatGPTならではのリスクへの対策も万全に。

    NTTネクシア 島田さん:
    ChatGPTを利用するうえでのリスクは大きく2つ「セキュリティリスク」と「誤回答リスク」だと考えています。
    セキュリティリスクへの対策としては、まず、社外のデータサーバとの連携における基本的なセキュリティ対策をおこない、そのうえで再学習しない、データを保持しないという対策をとっています。
    一方、誤回答については、生成AI活用においては、100%の正答率はありえず、AI以外での対処が必要なリスクだと認識しています。

    モビルス社 湯浅さま:
    モビルス社特有の制御によって、誤回答のリスクを可能なかぎり下げていますが、やはり軽微な文法ミスや名称の認識違いをゼロにはできていないのが現状です。

    NTTネクシア 白鳥さん:
    ただし、実際に実証実験を行ってみたところ、書き起こしについては8割程度、要約については9割程度の正確性があり、誤変換や誤要約などのリスクは相当低い印象です。

    NTTネクシア 島田さん:
    ChatGPTにすべてを委ねるのではなく、それに適した運用体制を整えて、人とChatGPTがうまく連携できる環境をつくることも大切だと考えています。たとえば、ChatGPT側で回答の精度を表示して、その精度に応じたコミュニケーターの判断基準を運用フローに組み込むなどが考えられると思っています。

      先進の技術を活用しながら、さらに高品質なコンタクトセンターへ。

      NTTネクシア 白鳥さん:
      コンタクトセンターでのデジタル化で重要なのは、システム担当だけではなく、実際にツールを使用する現場のコミュニケーター全員が『デジタル化で何ができるか』を深く理解することだと思っています。理解したうえで、自分たちの業務を見直していく、効率化していく、という意識を持つことが必要ですので、わたしはマネージャーとしてチームの理解促進のために尽力したいと考えています。

      NTTネクシア 島田さん:
      デジタルはどんどん進化していきますが、人による電話応対がなくなることはないので、デジタルと電話応対をシームレスに連携させ、効率性と高品質を両立できるコンタクトセンターを目指しています。そのためにも今後ますます生成AIを活用していきたいですし、お客さまの声分析にも生成AIを活用することで分析プロセスを効率化し、クライアントさまに対して、業務拡大にもつながる一歩進んだ提案を拡大できるのではないかと思っています。今後は生成AIなどの先進技術を駆使することで、新たな分野に踏み出すことも視野に入れ取り組んでいきます。

      シェア

      ご相談やご質問など、
      お気軽にお問い合わせください。

      ご相談・お問い合わせはこちら