カスハラガイドラインとは?事例とカスハラ対策のポイントを解説

カスハラガイドラインとは、顧客からの不当な言いがかりや悪質なクレーム、いわゆるカスタマーハラスメントから従業員を守るために必要な指針・マニュアルです。2020年の法改正で職場におけるパワハラ防止措置が義務化され、カスハラ対策が求められてきました。
本記事では、カスハラガイドラインのマニュアルをもとに、カスタマーハラスメントの概要やガイドライン策定の必要性と事例、カスハラ対策のポイントをご紹介します。
NTTネクシアによるカスハラ対策のアプローチ方法や、具体的なソリューション例も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
カスハラガイドラインとは|法改正の概要を解説
カスハラガイドラインとは、カスタマーハラスメントの防止に関する、企業や団体などが策定した指針のことです。2020年6月に女性活躍推進法の一部が改正となり、あわせて労働施策総合推進法等が法改正されたことで、職場におけるパワハラ防止措置が義務化されました。同年1月には『事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して 雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)【令 和2年6月1日適用】 』が策定。その結果、カスタマーハラスメントの相談に応じることや、適切に対応するための体制整備など、企業のカスハラ防止強化が求められました。
この流れを受けて、複数の企業や団体が「カスハラ対策ガイドライン」を策定・公開し始めています。
カスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客からの過剰な要求や不当な言いがかり、悪質なクレームなど、企業や従業員に対して行われる迷惑行為を指します。しかし、全ての顧客からのクレームがカスハラに該当するわけではありません。
企業の中には、一定のレベルを超えた場合のみ「悪質なカスハラ」とみなして対処している一方で、「お客様が納得するまで対応を行う」との基準を設ける企業もいます。
カスハラの判断基準は企業によって異なり、明確な定義が難しいのが現状です。そのため、企業は従業員への支援体制を整え、適切な対応を行うことが重要です。
カスタマーハラスメントの例
厚生労働省によると、カスハラは「顧客等からの著しい迷惑行為」と定義され、具体的には以下の行為が含まれます。
- 顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合
- 要求を実現するための手段・態様が、社会通念上不相当な言動
- 要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの
具体例としては、明らかに使用済みで傷んだ商品を「未使用だから返品しろ」と求めるケースや、保証対象外の修理を無償対応するよう強要するケースなどが挙げられます。その他のカスタマーハラスメントの具体例は、以下を参考にしてください。
<顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合の例>
通常の使用による経年劣化にもかかわらず無償交換や返金を強要する、不注意で破損した商品の新品交換を求める
<要求を実現するための手段・態様が、社会通念上不相当な言動の例>
店舗で大声を出して怒鳴る、長時間にわたり執拗に電話をかける、机を叩く、威圧的な態度をとる、従業員の個人情報を調べて脅迫する、SNSで誹謗中傷を拡散すると脅すなどの行為など
<要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるものの例>
小さなミスに対し高額な金銭補償を要求する、商品交換を要求するなど
カスハラガイドラインの法改正で企業に求められる対応
厚生労働省は複数のカスハラ対策ガイドラインを公開していますが、そのまま企業で活用できるわけではありません。なぜなら、カスハラの定義や具体的な事例の解釈は企業ごとに異なり、一律の基準を設けることが難しいためです。
そのため、企業には自社独自のガイドライン策定が求められます。カスハラ対策の基本的な枠組みを構築するため、発生を想定した事前準備、対応方針の明確化、従業員への周知、具体的な対応手順の整備などの取り組みが必要です。
また、厚生労働省のマニュアルをそのまま適用すると、場合によっては逆効果になることもあるため、慎重に内容を精査しながら対応することが重要です。
カスハラガイドラインの事例
カスハラガイドラインを策定した例として、以下の2つを紹介します。
東京都「カスタマーハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」を策定
東京都は、公正かつ持続可能な社会の実現をめざし、「東京都カスタマーハラスメント防止条例」を制定、2025年4月1日から施行します。カスハラ防止条例では、以下の3つが定められています。
- カスハラの禁止
- カスハラの防止に関する基本理念と各主体(都、顧客等、就業者、事業者)の責務
- カスハラの防止に関する指針と東京都が実施する施策の推進、事業者による措置等
事業者は、カスハラ対策の方針策定や従業員の安全確保などの措置が求められます。ガイドラインには、対象者や目的、具体的な対応手順を明記し、実効性のある対策を講じることが重要です。
NTTグループ「カスタマーハラスメントに対する基本方針」の策定
NTTグループでは、カスタマーハラスメントを「妥当性を欠く要求や、不適切な手段・態様によって従業員の就業環境を害する行為」と定義しています。具体例として、暴力や脅迫、誹謗中傷などの精神的・物理的な攻撃、土下座などの過剰な謝罪要求、長時間の電話や執拗な要求の繰り返し、無断での施設立ち入り・撮影・録音、性的嫌がらせなどが挙げられます。
カスハラの内容は企業や施設によって異なるため、東京都のガイドラインと比較すると、各企業が独自の基準を設ける重要性があきらかでしょう。適切な対応体制を整えるためにも、業務実態に即したガイドラインの策定が求められます。
カスハラ対策のポイント

カスハラ対策のポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 事実関係の記録・証拠を集める
- 有人対応以外のコミュニケーションツールを活用する
- 再発防止策の実施
ここからは、上記をそれぞれ詳しく解説していきます。
事実関係の記録・証拠を集める
カスタマーハラスメントへの適切な対応には、事実関係の記録と証拠の収集が欠かせません。確かな証拠や証言がなければ、カスハラに該当するか正確に判断できず、不適切な対応につながる恐れがあります。そのため、客観的な情報を正確に記録し、冷静に対応することが重要です。
事実確認の結果、商品に欠陥や過失がなければ、不当な要求には応じない姿勢を貫くことがポイントとなります。たとえば、NTTネクシアのコンタクトセンターでは音声認識技術を活用し、会話の記録・分析を行うことで、事実に基づいた適切な対応を支援しています。
このような技術を活用することで、企業の業務改善や対応品質の向上にも期待できるでしょう。
有人対応以外のコミュニケーションツールを活用する
カスタマーハラスメント対策として、AIやデジタルツールを活用し、有人対応の負担を軽減することが重要です。従業員が被害を受けた際には、安全確保や精神面への配慮など、適切なサポートを迅速に行う必要があります。
たとえば、NTTネクシアのコンタクトセンターでは音声認識技術を活用したリアルタイムでのスタッフサポートを実施し、NTTグループとしてハラスメントの相談窓口やヘルプデスクを設置するなど、従業員の支援を強化しています。
また、従業員がAIの活用により顧客と直接対応する機会を減らせば、カスハラのリスクを抑制できるだけでなく、業務効率の向上にも期待できるでしょう。NTTネクシアは、AI導入を支援し、待ち時間の短縮によって顧客のストレスを軽減しています。
さらに、AI、SMS、チャットツールを組み合わせ、有人対応を最小限にすることで、カスハラが起こりにくい環境を構築できます。こうした仕組みの導入によって従業員の負担を軽減できれば、顧客対応の質を高め、結果として顧客満足度の向上につなげられます。
再発防止策の実施
カスタマーハラスメントが発生した際には、再発防止策を講じなければなりません。再発防止策の整備は、一時的な対処にとどまらず、同様の問題を繰り返さないための恒久的な仕組みをつくるために重要です。
たとえば、NTTネクシアのコンタクトセンターでは顧客応対やコールセンター運営における課題と対策を明確にし、これに基づいた一連のサポートを提供しています。さらに、緊急時の「緊急対応・リコール」サービスも行っており、クレームやカスハラが発生しやすい状況に迅速に対応できます。
このように、企業が再発防止に向けた強固な運営体制を整えることで、従業員の負担を軽減し、安全で働きやすい環境の構築が可能になります。
カスハラ対策のサポートはNTTネクシアへ
この記事では、カスハラガイドラインの概要やカスタマーハラスメントについて詳しく解説しました。カスハラ対策は、従業員を守り、企業の信頼性を維持するために不可欠です。企業は、独自のカスハラガイドラインを策定し、従業員を守る体制を整えるために必要な準備を進めていきましょう。
NTTネクシアのコンタクトセンターでは、音声認識技術を活用した対応支援や、AI、チャットツールの導入による負担軽減などのサポートを提供しています。カスハラ対策を検討されている企業の方は、ぜひNTTネクシアの活用をご検討ください。
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