近年、ビジネスシーンにおいて存在感を増している「ソーシャルメディア」。
ソーシャルメディアは、従来のメディアでは困難だったユーザーの「生の声」収集や、企業・ユーザー間における双方向のコミュニケーションを可能にしました。
自社で運用すれば大きなコストもかからず、すぐにスタートできるため、多くの企業が運用に乗り出していますが、そこにはイメージダウンや炎上などのリスクも潜んでいます。ソーシャルメディアを効果的に活用するためには、プランニングとコミュニケーションスキルが不可欠。
そこで今回は、さまざまな企業のソーシャルメディア運営プロジェクトに携わるメンバーに、ソーシャルメディア運用において知っておくべきポイントを聞きました。

出席者:開発本部 ビジネス・インテグレーション部門 コミュニケーションデザイナー 河野 悦子
    COE本部 プログラムマネジメント部門 プログラムマネジメント担当 甲斐 みのり


◆Point1:運用のガイドラインは必須


ソーシャルメディアの運用を開始する前に、必ず決めておくべきなのが、アカウントのコンセプトやトーン&マナーなどをまとめた運用ガイドラインです。

甲斐:
アカウントコンセプトとは、『何のためにコミュニケーションをするのか』『対話したユーザーにどんな印象を持って欲しいか』などのアカウントの目的に応じて、誰に対してどのように対応していくのかを定めた基本方針のこと。これをきちんと設定しないまま始めてしまうと、必ず運用の中で方向性にブレが生じます。

河野:
それを定義した上で、トーン&マナー(語り口や言葉の扱い方)を決めていきます。 一人称はどうするか、くだけた口調はどこまでOKか、顔文字の使い方……などなどですね。細かな部分まで設定しておかないと、複数の担当者で運用した場合、同じアカウントなのにイメージがばらばらということに。担当者ごとの名前を出して対応する場合でも、企業としてのルールは必要です。個々の判断で文章を作成してしまうことになるので、最悪の場合、企業イメージの低下にもつながります。



◆Point2:「アクティブコミュニケーション」は必ず対象の絞込みを


ソーシャルメディアを検索し、自社に関連する内容のコメントに対して直接語りかけることを「アクティブコミュニケーション」と呼びます。企業イメージの向上やお客様との絆づくり、またクレームの防止にもつなげられるアクティブコミュニケーションは、ソーシャルメディアのもつ大きなメリットのひとつですが、成功させるためには、事前にフローを構築することが重要です。

甲斐:
アクティブコミュニケーションやVOC(Voice of Customer=顧客の声)収集には、『誰でも見ることができる』『匿名のため生の声が聞ける』という理由から、ツイッターを多く利用します。ツイッター上の声を社名や商品名などでキーワード検索するのですが、単にその検索結果に対して語りかけていけばいいというものではありません。あらかじめ運用ガイドラインでどんなツイートに対応するかを決めておき、その判断基準にのっとって絞り込んでいく必要があります。

対応までの流れ


◆Point3:メッセージ作成は「目的を明確に」「ワンパターンNG」「相手をイメージする」


文章を作成する際は、下記の3つを意識しましょう。

【目的を明確に】
河野:
まずは、『このメッセージで何を伝えたいのか』を明確にします。話しかけることで、相手のこんなことを解決したい、相手にこんな印象を持ってもらいたい、だからこういう中身にしようと考えていき、文章に落とし込みます。この手順は非常に大切ですね。メッセージは感覚で作るのではなく、なぜこの文章にしたのかを他の担当者にきちんと説明できるものでなくてはなりません。

ツイートメッセージ作成時のポイント

【ワンパターンNG】
河野:
ツイッターのコメントは、140文字という制限があります。その中でコメントを作成すると、どうしても同じような内容になりがちですが、定型文などは絶対にNGです。ソーシャルメディアは過去の発言も全て見ることができるので、『あの会社はいつも同じコメントをしている』というイメージを与えてしまったら、逆効果です。ワンパターンにならないよう、たとえば『ありがとうございます』という感謝の気持ちを表すときも、さまざまな言い回しを用意しています。これは、コールでもまったく同じですね。

【相手をイメージする】
河野:
過去のツイートやプロフィールなどから、話しかける相手がどんな人なのかをイメージすることも重要です。コールで、相手がご年配か若者かで応対の際の話し口調やテンポを変えるように、受け手の印象を考えながら文章を作ります。



◆Point4:炎上は火種の段階で消す


炎上が起こる要因は、主に次の3つ。

 (1)商品やサービス、経営など企業自体の問題
 (2)社員個人の不適切な発言や行動で、非難が所属する企業に向かう
 (3)企業のアカウント上の不用意な発言


甲斐:
(1)と(2)は企業体制の改善や教育制度などで対応するしかありませんが、(3)は日々の管理体制やトレーニングで防ぐことができます。
また、炎上は確かにとても大きな問題ですが、ソーシャルメディア運用のポイントを知り、しっかりと対策をしておけば、広がる前に消すことができますので、私たちはそんなに恐れることはないと考えています。
たとえばある人が企業に対する激しい不満をツイートした場合、いずれ情報が広がっていき、炎上につながる可能性があります。しかし、その人がツイートした時点で気づき、素早く適切な対応をすれば、炎上の火種は消えてしまいます。炎上を防ぐには、炎上につながるような発言をしないことはもちろんのこと、その火種にいち早く対応できるよう、体制を整えておく必要があります。

甲斐:
一方で、実際に企業の対応が伴っているかどうかも重要です。ソーシャルメディア上でいくら素早くお詫びをしても、実際の店舗などでの対応が伴わなければ『結局、何もやってくれない』と逆に不信感が増します。ソーシャルメディアを活用するには、企業の姿勢自体もオープンかつ公正であることが求められますね。もしも、それが難しければ、ソーシャルメディア上でのコミュニケーションはやめておいた方がよいのではないかと思います。



◆コールやメールで培ったノウハウを活かして


コールセンターのスーパーバイザーとしての経験も長い河野は、こう語ります。

河野:
私たちにとっては、コールもメールもツイートも、同じ『お客様対応』です。『相手の気持ちを考える』という基本姿勢と、コミュニケーションのテクニックがしっかり身についていれば、どんなツールだろうと、必ず品質の高い応対をすることができると自負しています。実際、ベテランのコミュニケーターは、年齢に関わらず皆ツイートが上手。最初はソーシャルメディアの知識がない人も、研修受講後にはすぐに使いこなしていますね。


ソーシャルメディア運用は、これまでの当社のノウハウが結実する新たなステージだと言えます。当社では、既に複数のクライアント様のソーシャルメディアプロジェクト立ち上げから人材育成、運用管理までをトータルで支援しています。
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※組織名・所属部署など本ページの掲載内容は取材時(2013年01月)の情報です。