コールセンター業界において大きな課題である「離職率」。
高いスキルと豊富な経験を持つ人材が退職した場合、その穴を埋めるためには莫大なコストがかかります。
「優秀なコミュニケーターを確保すること」は、応対品質の維持において非常に重要ですが、それを実現するのは容易ではありません。
しかし、NTTソルコには、離職率0%、従業員満足度100%という高いESを実現しているセンターがあります。
そのセンター「NTTソルコ千葉センター」は、このたび「The Contact Center World Awards 2012 APAC大会」の最優秀コンタクトセンター部門(50席以下 アウトソーサー)にて銀賞を受賞しました。
今回は、大会で実際に発表を行った蔀(しとみ)葉子を中心とした座談会を実施し、業務改善の秘訣を聞きました。

出席者:千葉センター
スーパーバイザー(以下SV)… 蔀葉子、藤川玲子、藤本淳子
所長 中田宗善、マネジャー 寺前隆志

◆キーワードは「和」


-今回の大会における発表では、「和」という言葉がキーワードとなっていましたね。この「和」について詳しく教えてください。

蔀SV:
千葉センターでは、「和」という言葉をスローガンとして掲げています。
「和」は「協力し合う関係にあること」という意味を持つ言葉。つまり、センターのコミュニケーターからマネジメント層、他センター、営業担当、クライアント企業がひとつの円の中で協力し合い、改善につなげること、いわば「協力的改善」が重要だという考え方です。
ポイントは、ここで中心となるのはコミュニケーターだということですね。
第一線で働くコミュニケーターが持つ情報をダイレクトにマネジメント層へ共有し、それをさらに広げていくことで、マネジメントプロセスの効率化が実現します。

◆コミュニケーター同士で研修を実施


-具体的には、どのような施策をとっているのでしょうか。

蔀SV:
まず、研修ですね。通常の研修は、SVからコミュニケーターへの一方向で行われますが、千葉センターではそれに加えて、コミュニケーターが中心となる研修を取り入れています。
この研修は、コミュニケーター同士が、改善点などを指摘し合う(相互研修)というもので、コミュニケーターならではの視点からの意見が出るなど、多くの利点があります。

藤川SV:
SVが言っても、なかなか気付かないようなときでも、同じコミュニケーターにちょっと指摘をされると気付くということもありますね。

蔀SV:
マネジメント層はコミュニケーター同士が共有した情報をセンター全体に展開することができます。また、この研修は、SVの稼働を必要としないという利点もあります。


◆業務改善は連携から生まれる



蔀SV:
千葉センターでは、コミュニケーターが日々の業務に潜む課題を発見し、発言することが起点となり業務改善活動が始まります。

-現場の人間からマネジメント層に課題を伝えるのはハードルが高いという印象があります。どのようにして意見を吸い上げるような流れを作っているのでしょうか。

藤本SV:
少人数の業務の時は、意見や問題点はすぐに吸い上げることができたので、問題点についてみんなと共有する場面を作っていました。話しやすい雰囲気作りということも意識していましたね。このセンターは、全体的に話しやすいですよね。

蔀SV・藤川SV:
話しやすいです。(笑)

藤本SV:
センター長も、マネジャーも話しやすく、センター全体が話しやすい雰囲気です。大事な事だと思います。上司に話しにくくて言えないからと、日々不満を蓄積させているだけでは、まったく問題の解決にはなりませんから。

-マネジメントの立場ではいかがですか。お互いに話し合える仕組みになるよう、心がけていることは?

SV全員:
ぜひ、聞きたいです(笑)

寺前マネジャー:
注意している点としては、コミュニケーター同士で話をしているだけでは、何の解決にもなりませんので、そこをどうマネジメントしていくのか、ということです。
コミュニケーター、SVはお互いに話して、問題点を共有し、それをしっかり成果につなげ、仕上げるのが私の仕事です。
日常の心がけとしては、ミーティングを積極的に実施するということですね。汎用センターの業務は、コミュニケーターもSVもギリギリの人数で運営していますので、ミーティングの時間は、意識をして作らなければ、とれないものです。
そこはマネジャーがミーティングをとれるシフトを作るなどの工夫をしています。その時間を確保するよう意識しないと、永遠にミーティングの時間なんてとれませんから。

中田所長:
締めるところは締め、かつ話しやすい雰囲気を作る、という職場の風土は、業務改善を行う上で非常に大切です。千葉センターでは、マネジャー、SVが、それぞれの立場を踏まえて行動し、連携することでその風土を作っているのです。そのベースとなるものが、職場における『和』と『規律』というスローガンに繋がっています。

◆モチベーションダウンを防止するには


-「離職率0%、従業員満足度100%」という高いESは、今回の大会でも非常に強いインパクトを与えていました。コールセンターと言うと離職率の高い業界というイメージがありますが、それを防ぐためにはどのような施策を行っていますか。

蔀SV:
千葉センターでは、コミュニケーター一人ひとりとの面談を定期的に行っています。その場で、業務についてはもちろんのこと、就労についての意見や要望もしっかりと聞きとります。

-クレーム対応などは、精神的に辛いということもあるかと思います。その部分についてはどのようなケアをしているのでしょうか。

藤本SV:
私は、以前は苦情の多い業務を担当していました。やはり苦情を受けると、コミュニケーターは落ち込んでしまうことがあります。

SV全員:
(うなずく)

藤本SV:
つよい苦情を言われてしまった場合は、たとえ何かしらの原因はあるにしても、「イヤだったよね」「辛かったよね」とまずはどんな気持ちだったかを聞きます。共感ですよね。
傷ついた部分はちゃんと聞いて、辛かった部分を共有することに心がけています。もちろん共感だけでは変わりませんから、その後にはしっかり指導もします。気持ちが落ち着いてから、「何が悪かったか」ということを、本人自身の気付きを促しながらコーチングを行います。

藤川SV:
私の業務では、コミュニケーターは、何かあればすぐ手を挙げて、SVが一緒に聞けるようになっています。一緒に聞けば、その場に応じた指示を出すこともできます。
内容によっては、クライアント様への要望ということで、「お客様の声として挙げさせていただきます」と承ることも必要ですし、あるいは、コミュニケーターの一言が原因で、あまりに傷つくようなことを言われてしまう場合には、人が変わればお客様の気分が変わるということもあるので、私が変わる場合もあります。そうすると、お客様もガラッと変わって、「それはさっき聞いたよ」と言いながらも聞き入れてくれたりすることもありますね。

中田所長:
集中してクレームばかりがかかってくるという業務もありますが、それは、コミュニケーターも辛さに耐えて頑張っていますし、SVもその辛さを見抜いて、時には変わって一緒に対応してくれています。
クライアント様から、わざわざお礼のメールをいただいたこともあります。
「千葉センターがこんなにしっかり対応してくれてびっくりしました。他の会社のときはこうでしたが…」と数値も挙げて。このようなことは、すぐにSVやマネジャーにも報告します。本当にねばり強く対応してくれて、感謝しています。
お客様をあしらうのではないんです。しっかり親身に聞いて、さらに、その中身を分析して、制度的なものは、営業担当を通じてクライアント様にお話しさせていただいて、一方で、コミュニケーターに失礼な点があれば、そういう部分はしっかりと指導して…というようにやってくれています。
状況に合わせて最適な対応をとることができるのは、やはり全員プロフェッショナルだからですね。

◆品質の高さを支えるもの


-応対品質の高さについて、秘訣は何だと思いますか。

蔀SV:
私たちのセンターで働いているコミュニケーターは、苦しかったり、無理やりやらされていたり、不当な条件の下で泣きながら働いていたりするわけではありません。やりがいを求められる職場であり、仕事に達成感がなくてはいけないと、マネジャーは日ごろからおっしゃっていますね。
センターでは、子育て中の方もいたり、幅広い年齢層の方がいます。そういった働いている人の一人ひとりが目的意識を持って、なおかつ働きやすいと感じられる労働条件でもあります。

中田所長:
また、全員に「お客様のために」という共通認識がベースとしてしっかりとあることが重要ですね。コミュニケーターは、「こういう伝え方をするのは、お客様ときちんとコミュニケーションするため」ということを、しっかりと理解しています。
単に、「クライアント様が言っているから、こうしてね」とか、「会社がこうしなくてはいけないから」とかいう風に教えても、高い応対品質は維持できません。私は、指導する側も、「コミュニケーターへ何度言っても良くならない」と『他責』にするのではなく、「何故、この教え方で理解してもらえないのだろう」と『自責』で解決策・方法を真剣に考えて指導してあげる、これが最も大切なポイントだと思っています。結局のところ、現場の第一線で働いているコミュニケーターが、本当にその気になってくれることが、一番大切なんです。

コミュニケーターが高い意識で業務に取り組めば、応対品質は上がるし、業務の中での課題にも気付くことができます。それをマネジメント層が組み上げて、他センター、営業、クライアントと一緒に改善していく。まさに「和」ですね。
今回の「The Contact Center World Awards 2012 APAC大会」での受賞は、この「和」が高く評価されたものです。
私はこれこそが、応対品質の高さを支えているものだと思います。

◆多様化するニーズに応える "ダイアローグ・マーケティングパートナー" を目指して


-今後のビジョンをお聞かせください。

中田所長:
近年、新しいコミュニケーションツールが続々と出現しています。センターにおいても今、Webでの申し込みやメールのやりとりがどんどん増えています。スマートフォンなどのツールも自然と世の中に入ってきています。
それにより、コールセンターの需要がなくなるのではないか、という見方をする人もいるかと思いますが、私はそうは考えていません。
確かに若い方は、コールよりもメールやソーシャルの利用が中心となるでしょうが、世代や用途によって、最適なツールは異なります。今後はその状況に合わせて、役割分担をしていくようになるでしょう。
私たちの最大の強みは「コミュニケーション力」です。人間を相手にすることですから、どんなにツールが変わろうと、コミュニケーションの基本は変わりません。
また、例えば今まで電話の声を分析していた手法を使って、インターネット上の声を分析していくなど、幅広く展開していくことができます。
ツールが増え、コミュニケーションが複雑化していく中で、豊富なノウハウと経験を持つNTTソルコは、クライアント様にとってさらに心強いパートナーとなっていくことができると考えています。

-時代は移り変わっても、千葉センターの強みはますます価値が高まるということですね。今日はありがとうございました。



※組織名・所属部署など本ページの掲載内容は取材時(2012年9月)の情報です。