万全の状態で立ち上げたコールセンターでも、その品質を維持するには、人材育成への取り組みが欠かせません。変わりゆく世の中の流れやお客様の声に対応するため、コールセンターは常に変化や成長が求められています。

「コールセンターの成長とは、つまりそこで働く人材の成長である」という信念から、当社では、クライアント企業様から受託したコールセンター人材のスキルアップのために研修や育成支援の充実に力を注いでいます。そこで、今回は、あるセンター内に実施した研修事例をご紹介します。

◆「プロを育てるプロ」コールセンターの人材育成・研修の専門部隊


当社には、コールセンターの人材育成・研修を専門に手掛ける、「ヒューマンキャピタル部 研修担当」があります。ここでは、センターが抱える課題に対して、育成・研修の面から常に最適な育成プログラムを提供するほか、規模の大きなセンターにおいては、日ごろから担当のトレーナーがつき、現場とコミュニケーションをとりながら、課題の早期発見と解決のサポートに努めています。このような専門の担当が存在する利点は、一歩離れた立ち位置から客観的に問題把握と解決に向けたサポートができることです。

「たとえば『クレームが増えたから、コミュニケーター向けのクレーム応対研修をやってほしい』と現場から頼まれても、私たちは単に既存のクレーム応対研修をするわけではありません」。こう語るのはヒューマンキャピタル部 研修担当シニアトレーナーの今井綾。当社では、このようなケースでは、「クレームが起こらない仕組み作り」こそが問題解決の鍵だと考えます。

「例えば、コミュニケーター向けのクレーム応対研修よりもコミュニケーターを育成する立場のSV(スーパーバイザー)への支援を強化した方が根本的な解決につながる場合も多くあります。現場へのヒアリングを通じて本当に必要な支援は何かを常に模索していくことが重要なのです」(今井)

◆SVを対象とした研修により、センター全体の品質が向上


このような支援で大きな成果を挙げたのが、某インターネットサービスプロバイダ会社のお客様相談窓口の事例。席数200、コミュニケーター400人という大規模センターです。既にスタートから10年以上が経過。クライアント企業様は、当初はできるだけたくさんのコールに応える生産性重視の運営を求めていましたが、近年は応対品質を重視する方向に変化しつつありました。

この変化に対応するために、ヒューマンキャピタル部 研修担当は、コミュニケーターの品質向上だけではなく、SVへの育成支援が必須だと考えました。センター全体の品質を向上するには、SVが適切にコミュニケーターを育成していく体制が欠かせません。そのため、SVを対象とした研修を行いました。

SVへの研修は、まず、ヒューマンキャピタル部 研修担当のトレーナーがコミュニケーターに対してモニタリング、コーチングを行っている様子をセンターのSVが見学するという支援からスタートしました。

その後、SVのミッションの共有、SV自身の応対スキル向上、モニタリング・コーチングスキル向上のための研修、最適なモニタリング・コーチングをコールセンターに定着させるための具体的なアクションプランを盛り込み、3カ月間、6ステップで実施しました。

当社の研修の特長は、ディスカッションやロールプレイングなどによって「気付き」をうながす、というスタイル。

たとえば、モニタリング・コーチング支援では、ヒューマンキャピタル部 研修担当のトレーナーが、モニタリングからコーチングまでを行っている様子をSVが見学した結果、「自分のコーチングは、悪いところを直して欲しいという思いから、『こう直してください』という指示になりがちだった。

トレーナーのコーチングを見ると、『今のコールをどう思う?』『何が一番の課題だと思う?』『その課題を解決するために何にチャレンジしたい?』など、相手に考えさせて一緒にゴールを探っていくスタイル。コミュニケーターに質問をするということがこんなに有効なんだ、と気付いた」という声が。

その後、今度はSVが実際にコミュニケーターに対してコーチングを行い、その知識やスキルを自分自身のものとして身に付けていきます。ノウハウを一方的に教えるのではなく、受講者自身が発見・吸収し、それを実際の業務に定着させていく──これが、当社の研修です。

このように体系立てられ、実際のコールセンターの現場にて活用できる研修の効果は、数字にはっきりと表れました。支援から1年弱で、支援前と比べてクレーム件数はほぼ半減、コミュニケーターでは対応しきれずにSVに替わる「二次応対」の件数は約6割減という結果に。さらにはこんな効果も。

「数字に表れることではありませんが、センター内のコミュニケーションがスムーズになり、雰囲気が明るくなったという声が多く聞かれました」(今井)

クライアント企業様の意向を汲み、品質重視への転換を果たしたこのセンター。現在も、新たな業務が増えており、それは信頼を得ている証と言ってよいでしょう。
絶え間ない品質向上と、クライアント企業様の信頼に応えることを目指し、当社はこれからも人材育成の取り組みに力を注いでいきます。



※組織名・所属部署など本ページの掲載内容は取材時(2012年1月)の情報です。